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【歴史の担い手たち 中編】
愛馬は何度目かの最終シケインを抜け、ホームストレートに入った。

ミラーに映る青い影の大きさは前の周と同じ、まだ仕掛けられる位置には来ていない。

こんなことが既に何周も続き、この周も何もなければ乗り切れる。百戦錬磨の彼とて人間、仕掛けられないとわかれば安堵もする。

しかし、油断も隙もないとはこの事。その一瞬の心の動きを逃さず、青い影は一気に押し寄せた。

(しっかりしろ)

彼の耳に聞こえた、二度と聞くことのできない懐かしい声。

蘇るはずのないその声の主は、だが姿までをも伴って彼の前に現れていた。
(どう、して)

(どうしても何もない、今は後ろの生意気な若者を抑えることに集中するんだ)

あの時と同じ間隔で前方に現れたあの人のマシンは、彼が走ろうとするラインをことごとく潰していっていた。

(後ろから迫られた時はこうやって走るんだ)

ドライバーによって微妙に異なる好みのラインを読み切り、自分好みのラインから少し外れた後ろを走るドライバー好みのラインを潰す。

それはまさにあの人の天賦の才が為させる神業。

声が聞こえる不可思議さを微塵も感じさせないその卓越したテクニックに触れられたことが、ただただ嬉しかった。

(それくらいのこと、僕にだってできるさ)

目に涙が滲むのを悟られないように強がりを言った彼は、前を走るあの人のマシンの動きに従って、ステアリングを切っていった。

(そうこなくては話にならない)

あの時、あのままのマシン、あのままのドライビングで、速さを見せつけてきたあの人。

いつしか彼は、後ろを振り返ることを知らない、貪欲に前だけを見つめる若かりし頃に戻っていた。

別世界に昇華した二人。

そして、背後から迫る若者の姿は消えた。
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