近年の一極集中的ブームの影響などで、見つけづらくなった一流の人や物などを掘り起こしていきます。 もちろんリンクフリーです!
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【歴史の担い手たち 後編】
後方からの圧力は既に無く、ファイナルラップの声を聞く頃、彼は前を走るあの人のマシンだけを見据えていた。

ようやく対等の立場で戦えるようになった途端に姿を消したあの人との戦いにケリをつけるためには、今をおいて他にない、そう彼には思われたのである。

しかし、チャンスがない。このコースで抜くためには、トサコーナーで抜くか、最後のシケインでブレーキ勝負を挑むしかなく、そう容易くあの人が抜かせてくれるとはどうしても思えなかった。

加えてタイヤの状態は悪く、次戦も同じエンジンを使わなければならないこの状況では、冷静にシーズンのことを考えれば彼には無理をする理由は一つもなかった。

迎えたトサコーナー。

抜けない。並びかける隙さえ与えてくれない。

(ここでは抜かせてくれませんか)

(フフッ、それはそうだろう、誰だってここでは後ろから来る奴の頭を押さえ付ける)

対話もそこそこに、淡々と二台のマシンは残るコーナーを消化していく。
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【歴史の担い手たち 中編】
愛馬は何度目かの最終シケインを抜け、ホームストレートに入った。

ミラーに映る青い影の大きさは前の周と同じ、まだ仕掛けられる位置には来ていない。

こんなことが既に何周も続き、この周も何もなければ乗り切れる。百戦錬磨の彼とて人間、仕掛けられないとわかれば安堵もする。

しかし、油断も隙もないとはこの事。その一瞬の心の動きを逃さず、青い影は一気に押し寄せた。

(しっかりしろ)

彼の耳に聞こえた、二度と聞くことのできない懐かしい声。

蘇るはずのないその声の主は、だが姿までをも伴って彼の前に現れていた。
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【歴史の担い手たち 前編】
(幸せな奴だ)

背後から迫る青い奔流を防ぐことで精一杯なはずの心の片隅で、彼は笑っていた。

スピードでは明らかに向こうに分がある。一度前に出られてしまえば、もうこの愛馬には抜き返す力は残されていない。そのことが痛いほどにわかっている彼の肉体は、一つのミスすら許されない緊張感に晒され、笑うことに神経を使うどころの話ではない。

にもかかわらず、彼の心では笑わずにはいられなかった。
彼を抜こうと必死にもがいている若者の姿が、かつての自分と重なって見えたのだ。

そう、彼とてかつては若者だった。

前を見つめていれば、前を走るあの人に狙いを定めてさえいれば良かった。

まさに、今後ろを走る若者と同じ所に彼はいたのだ。
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